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伝説の匠の使っていた伝説の工具 [フェニックス中華鍋じゃーん]

nonius.jpg

 ノギスを買った。

 ノギスとは画像にあるようなカタチをした測定工具のひとつです。目盛りが付いていて、副尺(バーニヤ)を使えば、円柱の直径やパイプ管の内径などが0.05mm単位で測れてしまう文明の利器であります。0.01mm単位で測定できるものもあるとか。さらに近年では目盛り部分がデジタル表示になっているものなどもあるそうです。高菜らいすはすぐにノギスを使うような状況になく、税込でも1,000円弱で買える100mmタイプの一番小さいノギスをゲットしました。

 かれこれ2年半以上も前からの「宿題」でありました。

 なんでノギスを買ったのかといいますと、以前NHKの派遣切りドキュメンタリを見たことがその理由になると思われます。その番組ではリーマンショックだったかサブプライム問題だったかで需要が落ち込み、派遣社員の方々の仕事がなくなっていく様子が撮影されていました。例に上がっていた北海道出身の30歳の男性もその一人で、これまで派遣会社で荷物の運搬という単純作業くらいしかしたことがなく、手に職がついていない、そのせいで再就職がなかなかできない、という内容の番組でした。

 男性はある会社に面接を受けにいく。面接後のインタビューにて「不合格」であったことをすぐに伝えていた。「ノギスは使えますか?」と面接官に尋ねられたとか。そして、ノギスなんて使ったことのない彼であり、不採用となった。男性曰く「端的に言えば、経験不足ということ」らしい。基本的な測定工具であるノギスが使えない人では困る、ということらしいのだ。「社会の求めるものと自分がやってきたことは、やっぱりちょっと違うな」と男性が述べるところでインタビューは締められていた。

 さて。

 この番組をたまたま見ていた知人がいらっしゃいまして、その方とお話をする機会がありました。その知人は例のノギスのシーンに刺激を受けられたのでしょうか、「思わずノギス買っちゃった☆」とおっしゃっていた。高菜らいすはたいへん驚きました。「どうすればこの人は仕事を見つけられるんだろうなあ」とぼんやりとしか考えていなかった高菜らいす。しかし知人は「自身が同じ状況になった場合のことも想定してみたら……ノギス買って使ってみようっと!」となったんである。もちろん工具一般が好きである、という個人的嗜好もあったのかもしれない。高菜らいすは工具にそこはかとなく憧れるところがありまして、使わないのにボルトやナットをついつい買ってしまう、電動ドライバーが欲しくなる、ということがあります。だから気持ちもなんとなくわかる。

 しかし、番組放送直後にノギスを買いに走ってしまうその「行動力」にたいへん驚きまして、そして生来負けず嫌いであるところの高菜らいすも「買わなければ」と思って2年半経っていたのでありまして、負けず嫌いである一方でまた怠け癖、面倒くさがり屋、腰が重い、という性質も持っている高菜らいすだったんである。ようやく、ようやく、ノギスを購入したんであります。

 足の親指や鼻の穴を測ってみたりしました(笑)
 工作を頻繁にするわけではないので、やはり使い道がない(^^;

 ちなみに「ノギス」についての説明を簡単に申し上げておきます。ウィキペディアによると「ノギス」というのは本来「ノニウス」と呼ばれるもので、それが日本にて訛った名称なのだそうです。ノニウスは綴りを「nonius」と書きます。「ポルトガルの数学者ペドロ・ヌネシュ、ラテン語表記ペトルス・ノニウス(Petrus Nonius) がノギスに目盛りを付けたといわれている」のだそうです。ノギスの「ギ」は一体どこからやってきたのか? 謎です(笑)

 さらに、ノギスに副尺を加えて補助的機能を追加したのがフランス人のピエール・バーニヤ(Pierre Vernier) さんで、彼の名前から副尺部分は「バーニヤ」と呼ばれるようになりました。さらにさらに、その「補助機能」に注目されたのか、ロケットエンジンなどの補助機能を果たすバーニヤも、ここからきている名称なのだそうです。

 自身の名前が死後もなお後世に伝わる、それはたいへんな名誉なのでありまして、高菜らいす羨ましく思ったりしました。(汚名や悪名は残したくないですけれども(^^;) 死んだ後も忘れられたくない。それはなにも高菜らいすだけが思うことではないはず、わりと多くの人が思うんではないか。そんな欲望は、人にはけっこう備わっているんではないか。そんなことをぼんやりと考えました。

 で、仮にバーニヤを考えたのが高菜らいすだったら、この副尺部分は「タカナ」と呼ばれることになるよね。地域や地方によって、ノニウスがノギスに変化したように、「タカナ」が「タカーニャ」とか「タケイナー」とか呼ばれるようになるんではなかろうか。某日本の宇宙開発機構の設計室にて、「いや、ここはタケイナーを付けないと姿勢制御に不安が残ります」「しかし、タケイナーを付けるとなると予算が足りなくなる」という会話が繰り広げられることになったのではないか。なかなか煮詰まらない議論に、設計室の室長が立ち上がりぼそっと言う、「タケイナーは、たけえなあ(高いなあ)」

 ダジャレ文化にまで影響を及ぼすことができたかもしれない。

 話がそれた。ノギスの説明でした。下の写真をご覧あれ。

nonius_manual.jpg

 購入したノギスのパッケージの裏側にあった説明書きです。要約すると、

 本尺目盛と副尺(バーニヤ)目盛をプラスして測定値を読みます。
 ①バーニヤの0点と本尺の目盛の対応箇所を荒読みします。
 ②バーニヤ目盛を本尺の目盛と合った所で読み取ります。
 ③①+②=測定値、となります。

 以上。たったこれだけでノギスは使えるようになるのです。「外側測定」「内側測定」「深さ測定」「段差測定」などができるのですけれど、それらは図りたい対象物にノギスのどの部分を当てるかだけが違うのであって、基本的にはこの目盛り部分を読むことが出来るか、それだけの工具なのです。

 誤解を恐れずに申し上げますと、「使える使えない」という言葉を用いるのは適当ではなく「知っているか知らないか」というレベルの話、だたそれだけのような気がしてきます。高菜らいすにはそのように思えてなりません。そしてそれだけのことが採用不採用に左右するのであれば……知っておくに越したことはないのではないか。知っているか知らないか=知識、と置き換えますと、知識はどれだけ持っていても重たくないように思います。話を飛躍させると、さらに「誰かに教える」という段になっても、知識ってのはどれだけ伝えても減ることがない、無限の資源のように思えてなりません。

 ドキュメンタリ番組に出ていた男性はその後仕事が見つかったのだろうか。見つかっていればいいけれど。或いはノギスを使えるようになった彼になっていれば、なんだか望ましいのにな、と思ったりします。


【追記】 記事内で触れたNHKの番組を見ていた方の、ネット上での感想なども探してみました。ありました。面接へ行く前の履歴書の志望動機欄が白紙であったこと、面接に普段着で向っていること(スーツで行かなくていいの?)など、いろいろと突っ込まれていました。さらに「企業側は、体よく不採用にするために、ノギスのことを持ちだしただけで、ノギスだけが原因ではないと思う」という意見も。「なるほど、採用担当さんは何枚もウワテなのだなあ」と高菜らいすコクリコクリ肯いたんであります。

「ところでノギスは使えますか?」「はい!」と答えられるパターン、「使ったことはありませんが、すぐに覚えます!」と答えるパターンなどを何種類かを想像してみたり。元気にハキハキと、それだけでうまくいく可能性は高まるんではないかと考える、学生気分の抜けない高菜らいすであります。どうかにゃ?

 ノギスの使い方なんて「知っているか知らないかだけである」などと本文中で述べましたけれど、ひょっとすると「定規を使って何かを測る」ことや「単位を考えて、本尺と副尺の目盛りを足し算する」という行為に各個人でハードルの高さに違いがあるのか?とまで考えてみました。これらはおそらく小学校で習う事柄のように思います。嗚呼、義務教育ってありがたい……。


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たにぐち

こんばんは。
もう知ってるかもしれないけど(僕は今日知ったんだけど)、あの『ARIA』のスタッフさんたちによるアニメ『たまゆら』がTVで放映中らしいです。
ttp://anime.biglobe.ne.jp
↑のアニメワンというところに登録すると今無料で過去のOVA(4話)と、今放映中のアニメが観られるみたいなので、よろしかったら。声優が『ARIA』の人たちなんで、不思議な感じもしますが、いろいろと楽しめそうな作品になっていると思います。
by たにぐち (2011-10-05 17:55) 

新な音

仕事柄、多種多様な道具を使います。
もちろんノギスも。
以前から欲しかったハンドリベッターを必要に駆られて購入♪
ホームセンターは楽しいです(^^)v
by 新な音 (2011-10-07 00:36) 

takana_R

 おはようございます!

>たにぐちサンへ

 『たまゆら』のページ早速覗いてみました。ARIAのスタッフさんなのですね。公式サイト(http://www.tamayura.info/)をたどってみたところ、一時間ほどの動画があり、それをちらっと見てみたところ、主題歌がユーミン『やさしさに包まれたなら』で、歌っているのが坂本真綾さんという、なんとも豪華な感じ!(編曲はDEPAPEPEだし!) ジブリの『魔女の宅急便』のエンディングで流れていたあの曲。この曲、好きなのですよー。魂がきゅーんとなる曲です。公式にある動画は以前発売されたOVAの公開で、10月からは新たにTVシリーズが放送される、そういうことなのですね。

 TV放映は深夜ということもあり、サンテレビが映らないということもあり、見られそうにありませんけれど、ネットだと見られるのですね。ネットはありがたいものです。

 ご紹介、ありがとうございました。

>新な音さんへ

 ハアァァンド、リベッタァァー! 大きな声で叫んでみるとすごく強そう! スーパーロボの腕がぐわーんと伸びるイメージかも! と、このように、どのような工具なのか高菜らいすにはまったく想像がつきませんけれど、手で何かをリベットする、そのような工具を想像しています。(リベット、の意味はわからないのですけれどね(^^) 例えば圧着端子を作るような、そんな工具なのかなあ。さっそく調べてみるですよー!

 ホームセンターは楽しいですね。ノギスを買った数日後、カッターナイフの刃を買いに行ったり、カッターマットを新調したりしました。普段工具を使うことがまずない高菜らいすにとっては、これくらいしか手が出せませんです(笑) 工具をたくさん使う、それは推察するに「もの作り」というお仕事なのであって、そのこと、大変羨ましくも思います。いつも作ってくださってありがとうございます。

 ハンドリベッター調べてみるですよー!
 ではではー。
by takana_R (2011-10-07 04:49) 

シャネル バッグ

突然訪問します失礼しました。あなたのブログはとてもすばらしいです、本当に感心しました!
by シャネル バッグ (2013-06-29 12:48) 

ミュウミュウ 財布

匿名なのに、私には誰だか分かる・・・(^_^;)ありがとう。。。
by ミュウミュウ 財布 (2013-07-02 04:48) 

ルイヴィトン 店舗

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by ルイヴィトン 店舗 (2013-07-06 18:52) 

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